第119章 耐え難い過去

茶室の個室で、加賀征史は杉浦杏奈をひと目見た瞬間、目を奪われた。

杉浦杏奈の美しさは、華やかで、濃く、ひどく人目を引く。以前、テレビで見たことがあった。

だが今日の彼女は、白いポロワンピース姿で、化粧もほとんどしていないように見える。そのぶん、かえって清楚さが際立っていた。

まさに、彼がいちばん好むタイプだった。

加賀征史は無意識に唇を舐め、呼吸まで荒くなる。

杉浦杏奈は彼の向かいに腰を下ろし、個室の中をひと通り見回した。多くの実業家が密談の場として好む茶室だけあって、たしかに人目を避けるにはうってつけだ。

「杉浦さん、俺に会いたいって?」

加賀征史は立ち上がると、彼女の隣へ移...

ログインして続きを読む